Foreign Banks support the vitalization of the Japanese economy and markets
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外資系金融機関は日本経済と金融市場の活性化を支持する
国際銀行協会 会長
モルガン・スタンレー・ホールディングス 社長
ジョナサン B.キンドレッド
世界22ヵ国から日本に進出している外資系銀行と証券会社などにより構成される一般社団法人国際銀行協会は、日本経済を繁栄させ、金融・資本市場を活性化し、東京を国際金融センターとして発展させ、ひいては日本社会全体に貢献する環境整備への取組みを全面的に支持する。
日本は、巨大な国内消費市場、幅広い分野における世界的企業、世界最大の年金基金、潤沢な家計貯蓄、巨大で効率的かつグローバルにもアクセスしやすい国債・株式市場を有しており、その強みを最大限に活用すべきである。これらの基礎となっているのは、確立された法制度や質の高い労働力、予見可能性が高いビジネス環境などである。こうした強固な基盤の上に政府は目下、多くの注目すべき施策を講じている。
日本では歴史的に他国に比べて企業の自己資本利益率が低いものの、スチュワードシップ・コードが昨年策定され、機関投資家の果たすべき役割を定めたほか、来月にはコーポレートガバナンス・コードも導入され、これを補完することとなる。両コードはあくまでも自主的なものだが、企業はコードを順守するか、守らない場合はその理由の説明が求められる。コーポレートガバナンス・コードによる新しい基準を真剣に受け止めるかどうかは上場企業しだいだが、投資家からは説明責任を求められることになる。こうした取組みは、JPX日経インデックス400の導入とも相まって、内外の投資家に日本における投資機会をアピールするものとなる。
NISAの導入やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用比率の見直しなどの新たな施策により、株式市場に新たな資金が流れ、投資妙味が増す環境が整いつつある。
金融規制についても、金融危機後のグローバルな規制改革の取組みに則って、堅確かつリスクに対応できるものとなっていることを歓迎する。
日本円と日本国債のさらなる国際化を進める取組みも歓迎したい。とくに新日銀ネットの稼働時間延長は、日本とは時差のある市場においても決済を可能とし、流動性を供給するものである。
しかし、日本は近隣諸国を含めてグローバルな競争環境にいることを忘れてはならない。それを念頭に、規制環境や金融インフラ、社会経済環境を整備することが肝要である。他の市場では世界に魅力を訴える動きが急速に進んでおり、手を緩めるわけにはいかない。金融インフラ、税制も他の市場の動向に遅れをとるわけにはいかない。たとえば、決済インフラはさまざまな金融商品を清算集中すべく迅速に対応することが求められ、税制は、企業や技能労働者が日本で活動したり、日本の資産を活用することを妨げるものであってはならない。